様々な恐怖症
恐怖症にはいろいろなものがあります。例えば高所恐怖症や閉所恐怖症は、よほど重症でない限り、治療的支援の対象にはなりません。またどんな人にも1つや2つ、あるいはたくさん恐怖の対象はあるでしょう。例えばゴキブリなどの昆虫恐怖、クモ(昆虫ではありません)恐怖、毛虫恐怖、蛇恐怖、尖端恐怖、発狂恐怖等など…。こちらもありふれていて、あまり治療が必要なケースはありません。また対人恐怖や赤面恐怖、広場恐怖などは社会不安性障がい(SAD)に分類されています。こちらは支援の対象ですが、別コラムで触れましたので、ご参照ください。
ここで述べたいのは、自分から嫌な臭いが漏れて人に避けられるという自己臭恐怖症や、腸が動いている音が漏れるのが嫌で人を避ける自己音恐怖症(教科書にそんな病名はないが…)、それから自分の容姿が醜くて(実際は美形であることが多いにもかかわらず…)、人から嫌われることを恐れる醜形恐怖症についてです。そんなことあるの?と思われる方は幸せです。人には思春期という、自意識過剰になる時期があります。また思秋期とでも言うべきか、入れ歯による口臭や加齢臭をとても気にする中高年の方もいらっしゃるのではないでしょうか。肥大した自意識のなせるわざなのかもしれません。
このような症状をまとめて、「自分の中から何かが漏れる恐怖症」と考えることもできるでしょう。重症化すると妄想レベルにまで深くなることもありますが、基本的には自分の属性によって、他者を不快な気持ちにさせることを恐れる心理で、意外とありふれたものです。この症状のために歯科・口腔外科、消化器内科、美容整形外科、皮膚科などをハシゴする方もいると、漏れ聞きます(?)が、「人に嫌われている、避けられているのではないか」という強い不安がもとになっている症状とも考えられ、「忌避恐怖症」とまとめられるでしょう。日本文化の深層に昔から根付いた「村八分」「えんがちょ」「仲間はずれ」を恐れる気持ちとも関係があるでしょう。
メンタルな側面から、治療的支援ができることが割とある領域です。ご相談ください。