不登校
多くの不登校は精神障がいではなく、学校、友人関係、家庭などの社会文化的要素に基づく社会現象です。登校拒否といわれる場合もありますが、決して本人は登校を拒否しているのではなく行きたくても行けないという場合がほとんどです。
しかし不登校が続き、その結果として二次的に精神症状を呈する事もあります。また、ごくまれに統合失調症やうつ病などの精神障がいから不登校に陥っている場合もあります。この見極めをするために、専門医療機関での診察が必要になることがあります。
不登校の一般的経過
心気的時期
朝になると頭が重い、お腹が痛い、気分が悪いなどの漠然とした症状が出現し午後になるとケロッとして元気になり夜には「明日は登校しよう」という気になりますが、再び翌日も同じ事の繰り返しで登校できません。
ご家族は身体の病気ではないかと心配し、医師の診察を受けさせたりもしますが、身体的には問題がなく本人もズル休みだと思われているのではないかと悩んでいます。
攻撃的時期
ご家族は次第に苛立ち、叱ったりなだめたり説教したりとあらゆる手段で登校させようと試みますが、本人は学校と聞いただけで怒ったり暴れたり、時には一言も口をきかなくなったりします。昼夜逆転がみられるのもこの頃です。
内閉的時期
次第に自室にこもり家族との接触を拒むようになります。食事も1人自室で摂るなどといった状態で、ご家族も腫れ物に触るような扱いになってきます。
不登校への対応・治療
ご家族や学校の先生方の子どもへの理解が重要です。お子さんが一体どんな悩みを抱えているのかを理解し、対応する事が肝要です。困っている問題があれば早期に対応できることが望ましいく、また一時的に休める環境を作るという事も大切です。
お子さん本人としては何とか現状を変え登校したいと思っています。しかしご家族、学校の先生など周囲の大人達からの働きかけには拒否的です。
ここに第三者的立場で、医療機関が介在する意義があります。心の病気がからんでいないかという見きわめも必要でしょう。病気がらみの場合はお薬が必要になることが多いです。その場合でなくても、昼夜逆転の是正や日々の不安や緊張を取り除くために、一時的にお薬の服用をおすすめする場合もあります。また医療機関も社会との接点でもあるので、社会的な孤立を防ぎ、気持ちのやり取りがしやすくなると、徐々に変化が生まれてきます。
またご家族や学校の先生方には話せない悩みなど、第三者であるからこそ話が出来るというお子さんも多くいます。「気持ちの風通し」を改善し、「気持ちの交通整理」をお手伝いするとでもいったらよいでしょうか。
一時期不登校であったけれど、今では社会的に成功している人も数多くいます。長い目で見れば社会的予後は良好といって良いでしょう。