統合失調症
統合失調症とは、考えや気持ちがまとまらなくなったり、幻聴があったり、誰かにずっと監視されているような感じがする状態が続く精神疾患です。約100人に1人がかかるといわれており、まれな病気ではありません。思春期から40才くらいまでに発病しやすいことが知られています。専門的な治療を継続することによって、症状をコントロールすることが可能な病気です。
症状について
統合失調症の症状には、「陽性症状」と「陰性症状」があると言われていますが、おおよそ以下のようなものです。
陽性症状
- 実際には存在しない対象が見えたり聞こえたりする(幻覚症状)
- 自分と関わりのない出来事でも自分と関連があるように感じる(関係付け症状)
- 実際は起こっていないことが起きているように思ったりする(妄想症状)
- 気持ちや考えがまとまらなくなる(思考症状)
- 人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる(コミュニケーション症状)
- イライラしたり怒りっぽくなる(気分症状)
- 疲れやすくなる(身体症状)など
陰性症状
- 物事に対して無関心になる(感情鈍麻症状)
- 意欲がなくなる(意欲低下症状) など
原因について
統合失調症の原因はまだはっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝えるドーパミンなどの神経伝達物質のバランスがくずれることが関係しているのではないかといわれています。また、大きなストレスがかかることなども関係あるようです。遺伝子も関与しているといわれていますが、さまざまな要因が複合的に関与していると考えられています。
治療方法について
症状が活発で、周りからの刺激に敏感になっている急性期などには、不必要な刺激を避けて治療に専念することや十分な睡眠を確保することが重要です。そのため入院による治療を選んだ方が良いと医師が判断する場合がありますが、入院せずに外来治療を続けることによって、回復に向かう方も多くいらっしゃいます。
治療薬
脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスを整える薬が、幻覚や妄想などの症状を改善するために処方されます。その他にも症状に合わせて、不安や気分の落ち込みを和らげる薬、よく眠れるようにする薬などが使われます。統合失調症では、薬を飲むことをやめると、再び症状が出てくることがあります。また、再発を繰り返すと症状が強くなり、治りにくくなるといわれています。薬には再発を予防する作用がありますので、薬を飲みつづけることが大事です。症状が良くなったからといって、自己判断で薬をやめないようにしましょう。「薬を飲むことをやめる」「薬の量を減らす」などについては、医師とよく相談して決めましょう。
薬の副作用
時として、体がかたくなったように感じたり、手足が震えたり、落ち着きがなくなる人がいます。また口が渇いたり、便秘になったりする人が多くいます。これらは薬の副作用の場合がありますので、少しでもおかしいなと感じたらご相談ください。薬の量を調整したり、薬の組み合わせや種類を変えたりすることで、副作用をおさえることが可能です。